婚約三羽烏

2015.07.09

監督:島津保次郎  製作:松竹 / 1937年(昭和12年)

婚約三羽烏タイトル
タイトルバック

1937年当時、松竹の新人スター3人の上原謙、佐野周二、佐分利信を「松竹三羽烏」といいました。
この3人を主役にした軽やかなコメディー「婚約三羽烏」が7月に封切られています。
素敵な松竹三羽烏が一度に主役で見られる贅沢な映画で、当時大ヒットしたそうです。
3人の役名が、芸名そのままになっているのもアイドル映画としての企画意図が垣間みられて面白いです。
マドンナ役の高峰三枝子も、上流家庭のお嬢さんの役を自然体で演じ、とってもよく似合っています。

配役
谷山健…上原謙
三木信…佐分利信
加村週二…佐野周二
順子…三宅邦子
伶子…高峰三枝子
栄子…森川まさみ

武田秀郎
葛城文子
斎藤達雄
河村黎吉
小林十九二
飯田蝶子
水島亮太郎
岡村文子
大塚君代
森川まさみ
氷川澪子
若水絹子

婚約三羽烏1
加村週二(佐野周二)は半年前に失業してから、恋人の順子(三宅邦子)に養われている。順子はこのままだと加村は自分に甘える一方で、彼のためにならないからと別れを切り出す。大家のおかみさん(飯田蝶子)が思いとどまるよう説得しても決心は固いようである。
−ダメダメ、今度こそちゃんとするって、そんな言葉は聞き飽きたの。

婚約三羽烏2
加村は今度こそ必ず就職しようと、人絹(レーヨン)の会社の面接を受け、会場で三木信(佐分利信)、谷山健(上原謙)という同世代の青年と出会う。三人はめでたく採用。新しく開店するサービスステーションの店員となることが決まった。(この面接会場で会社の上役たちが繰り広げるコントが傑作!)

婚約三羽烏3
週二は意気揚々と家に帰ったが、恋人の順子はすでに去ったあとであった。
谷山健は中流家庭のおぼっちゃん。趣味はホルン。彼には許嫁のような栄子(森川まさみ)という女性がいる。

婚約三羽烏4
人絹会社の社長(武田秀郎)は、社長夫人(葛城文子)と令嬢の伶子(高峰三枝子)と一緒に西洋料理店で食事をしていた。若い男性の社員を採用したのは、伶子の意見をきいてのことであった。
−買い物に行った時に、その店に好感のもてる立派な男性がいたらいい気持ちでしょ?

婚約三羽烏5
順子に出て行かれた週二は、おでん屋で信にバッタリ。金がない信は週二に奢ってもらおうと酒をどんどん飲ませる。二人は酩酊してそのまま週二のアパートで一緒に寝てしまうのであった。一方、健は栄子と銀ブラの帰り、栄子から結婚したい気持ちを仄めかされる。

婚約三羽烏6
サービスステーションでの勤務が始まった。三人はそれぞれの持ち味を活かして、なかなかの働きぶりである。

婚約三羽烏7
そこへ社長令嬢、伶子が様子を覗きに来る。やがて彼らは三人とも美しい伶子の虜になってしまう。(三木はご馳走してもらえる豪勢な食事につられて?)

婚約三羽烏8
伶子に恋してしまった週二は、恋人の順子がアパートに戻ってきてもそっけない態度であしらう。健は伶子の自宅まで招かれ共通の趣味である音楽の話題で盛り上がり、彼女のためにホルンを吹いてもうメロメロだ。

婚約三羽烏9
週二と健は、伶子をめぐって火花を散らせる。その伶子はというと、両親と信と横浜で中華料理を食べていた。彼女は自分の結婚問題が頭を離れないようす、婿候補を見定めているのだろうか。横浜から上機嫌で帰宅した信は週二とケンカ、三人が三人とも伶子の取り合いのようなかたちになってしまう。

婚約三羽烏10
三人が職場でも険悪な仲になっていると、突然東北弁の女性が信を訪ねてくる。田舎で馴染みだったお仙(小牧和子)であった。信が必死でお仙を帰そうとしたとき、主任(河村黎吉)が三人を呼び出す。社長からの特別な思し召しだという主任の言葉に、昇給かなにかだと思い目を輝かせる三人。ところが、特別な思し召しというのは、なんと伶子とさる男爵との結婚披露への招待だった。三人はあぜんとしたのち顔を見合わせ、思わず笑い始める。伶子が結婚を意識したようなことばかり三人の前で言っていたのは、自分に恋していたからではなかったのだった。

婚約三羽烏11
そして…。三羽烏は、もともとの女性と収まるべきところに収まった。

この映画で楽しいのは、当時の高級ブティック(デパートではなく路面二階建の専門店)の内装をじっくり見られることです。ストッキング売場で、太ももから足先までのマネキンにストッキングを履かせて飾るのは、当時からやっていたんだなぁとか…。
お客の女性たちのモダンな服装も楽しめます。

歴史的には支那事変、いわゆる日中戦争が始まる年ですが、この頃の作品はまだまだ華やかな世界が堂々と描かれています。こういう洒落た雰囲気はその後3,4年のうちにスクリーンから消えていくので、この作品も一時代の文化を伝える貴重な資料なのです。