港の日本娘

2015.07.09

監督:清水宏  製作:松竹 / 1933年(昭和8年)

港の日本娘タイトル
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あらすじ
異国情緒あふれる横浜(ハマ)。
港を見下ろす居留地にある学校にかよう親友の砂子(及川道子)とドラ(井上雪子)。
砂子はヘンリー(江川宇礼雄)という不良のボーイフレンドに夢中で、ドラは少し淋しさを感じている。
恋人たちはバイクに乗ってデートを重ねるが、そのうちシェリダン燿子(沢蘭子)というライバルが現れ、砂子は三角関係に悩むようになる。
ドラは二人の仲を修復しようとヘンリーにも語りかけるが、砂子は思いつめてついにシェリダン燿子を銃で撃ってしまう。

そして数年後…。砂子はチャブ屋の娼婦となっていた。
長崎、神戸を渡り歩いて横浜に戻って来た彼女は真面目になったヘンリーと再会するが、彼はいまドラと結婚していた。
夫婦は砂子を今の世界から救おうとするが、その一方でドラはヘンリーと砂子が二人だけで会うことに不安を隠せない。
ドラの気持ちを思いやり気丈にふるまう砂子は、チャブ屋の宿舎で因縁の相手、シェリダン燿子と再会する。
シェリダンは同じく苦界に身を沈めて、病気で今日まさに息絶えようとしていた。
彼女は、ヘンリーとドラの幸せをそっとしておかなければいけない、そして早く真面目な生活に戻りなさい、と砂子を諭し息絶える。

砂子はヘンリーへの未練を断ち切り、横浜を去るのだった。

配役
黒川砂子…及川道子
ドラ・ケンネル…井上雪子
ヘンリー…江川宇礼雄
シュリダン耀子…沢蘭子
マスミ 酒場の女…逢初夢子
三浦 画家…斎藤達雄
原田 紳士…南条康雄

日本初のトーキー作品は1931年、五所平之助監督の「マダムと女房」ですが、これ以降すぐにトーキーが主流になったかというとそんなことはなく、1934年くらいまではまだまだサイレント映画があります。

この映画の見どころは、戦前の横浜や、チラっと映る神戸の街並み。横浜、神戸ってやっぱり外国のような街だったんだろうな。
江川宇礼雄とか井上雪子とか、ハーフ俳優を主役に持ってきて、役名もヘンリー、ドラときてます。
清水監督は、30年代後半からの作家性の強い作品が今日では有名ですが、とくにサイレント時代は職業監督としてメロドラマをバンバン撮っていて、高い評価を受けていたのがとても面白いなぁと思っています。
(町工場のオヤジのような風貌だったらしいので…)

港の日本娘_砂子-01
女学生時代はセーラー服だった砂子とドラ。娼婦になってからは砂子は着物一辺倒です。髪飾りやイヤリングはいかにも水商売の女という感じ。指輪と腕輪が素敵です。

港の日本娘ヘンリー-01
ヘンリーは不良らしく、大型のバイクを乗り回しています。真面目になりドラと結婚してからは、スーツ姿の大変モダンな青年です。

港の日本娘ドラ-01
砂子の親友でのちにヘンリーの妻となるドラは、こちらもモダンな若奥様。

港の日本娘_旧横浜地方裁判所-01
横浜は戦前から残る近代建築の宝庫。ヘンリーと砂子がバイクで街を走るシーンで見えるのは、日本大通りの旧横浜地方裁判所。(現在の建物は2001年に建て替えで復元されたもの)

港の日本娘_マスミ-01
現代の芸能界にいても全く遜色ないモダン派、逢初夢子。本当にかわいい!スタイル抜群。もっと松竹映画でその姿を見たかった…。

港の日本娘バー-01-01
横浜の酒場はどれも素敵。BAR DIANA、Bar Nile…。

港の日本娘_斉藤達夫
この作品のキーパーソンでもある、砂子のヒモ?画家の三浦(斉藤達雄)。砂子に犬ころのようにくっついて、エプロンをして家事をするけなげな男です。

港の日本娘_ブラジレイロ
神戸の街並みを映した一瞬、左に見える看板?は「ブラジレイロ」と読めるような!?ブラジレイロといえば博多には今も残る喫茶店。戦前は銀座や神戸にもあったチェーン店。