私の兄さん

2015.07.11

監督:島津保次郎  製作:松竹蒲田 / 1934年(昭和9年)

私の兄さんタイトル-01
タイトルとクレジット。助監督に豊田四郎、吉村公三郎。撮影に木下恵介と、のちの映画界を支える人々の名前が。

あらすじ
タクシー会社「三星ガレーヂ」を経営している重太(河村黎吉)は、面倒見がよく社員からも慕われて会社は順調だが、気がかりは義弟の文雄(林長次郎)のこと。
文雄は、重太の父の後妻、高子(鈴木歌子)の連れ子である。
高子は先妻の息子である重太をつねに立て、気遣ってきた。
重太自身も高子を慕い、また文雄のことも本当の弟のように思っているが、出来の良い義兄と比べて育てられた文雄はやさぐれて家を飛び出してしまった。

ある夜酩酊してタクシー会社にやってきた文雄は、母の高子が病気で寝込んでいることを兄から聞かされ、ようやく改心を決意。
そこへ代々木まで走ってくれという客が訪れ、文雄は運転手を買って出る。
代々木の邸宅に到着すると、客は文雄にここで待っていてくれと言い残し車を降りた。
すると今度は一人の女が車を駈け込んできたではないか。どうやら追われているらしい。
須磨子というその女(田中絹代)を乗せて八王子への逃亡ごっこに付き合い、次第にうちとけてくるうちに、彼女が自分と同じ、義理の肉親の悩みを抱えていることを知る。
須磨子を諭すうち、彼女に向けた言葉がそのまま文雄の心に沁みわたってくる。
いつでも優しく背中を押してくれる義兄のありがたさを感じながら、素直になれなかった母親と向き合う気持ちが文雄にも湧いてくるのだった。
須磨子もまた文雄の優しい言葉に背中を押され、義理の母親の待つ家へと戻っていった。

そして…。
更生して三星ガレーヂの副社長となり働く文雄のもとへ、晴れやかな顔で須磨子が訪ねてくる。
文雄は須磨子を乗せて、シボレーのアクセルを踏み走り出した。
どちらまで?と聞く文雄に須磨子ははにかんで答える。
—八王子まで。

配役
文雄…林長次郎(のちの長谷川一夫)
重太…河村黎吉
高子…鈴木歌子
須磨子…田中絹代
永松…坂本武
上林…大山健二
古賀…石山竜児
田中…赤池重雄
幸子…坪内美子
めし屋の主人…野寺正一
男A…奈良真養
男B…河原侃二
或る男…山口勇
仙公…小林十九二
金公…南里コンパル
順公…松井潤公

長谷川一夫の松竹時代の現代劇。
時代劇スターだった彼の現代劇は珍しくて、データベースでざっと見ても、松竹時代に蒲田では6作しか撮っていないらしい。
(松竹は京都が時代劇、蒲田が現代劇のスタジオでした)
私は時代劇には今のところ興味がないので、林長二郎はこの一作でしか観ていません。
なんというか…顔も声もあまったるい^^;
時代劇ではこういう練乳みたいな美男子が映えるんでしょうか。
上原謙が好きな私にとってはちょっと重たすぎますが、当時の女子はキャーキャー言ったらしい。
時代劇ばっかりやってるから演技もさぞオーバーなのかと思いきや、それはそんなことなかったです。島津監督の力量?

とにもかくにも、島津監督のこういうテンポの良いさわやかな現代劇、大好きです!

私の兄さん_長谷川一夫_河村黎吉
今回は河村黎吉がいい人で泣かせます。
いつも名脇役として松竹作品を支えている彼ですが、この作品ではかなり大きな役で(なにしろタイトルロール)これがまたとっても良いんです。

私の兄さん2-01
田中絹代は、令嬢役。特に現代的な顔立ちでもないのに、洋服が良く似合う。いろんな作品を観るたび、田中絹代がどんどん可愛く見えてくる不思議^^; 写真しか見たことなかった頃は「美人じゃないじゃん」と思っていたんですがねぇ…。
左は貴重?な下着姿。

私の兄さん3-01
戦前のモガは煙草を喫む。

私の兄さん1-01
三星ガレーヂのタクシーはシボレー。壁にはシボレーのロゴが描いてあり、ポスターもいくつも貼ってあります。